日本数式処理学会設立趣意書

発起人代表 一松信


数式処理は、数学という偉大な知識ベースを有する専門システムを計算機上 に実現していくという側面から、数学に限らずロボティックス、流体力学、高 エネルギー物理学、数値解析、人工知能などの広範な数理科学分野の研究道具 として、また企業における研究開発の総合的基礎技術として、その利用度が急 速に高まっている。さらに、近年の計算機とその応用技術の著しい発達なくし ては考え得なかった新しい形の方法論展開という面で、数式処理自体が発展性 のある興味深い研究対象となってきている。

このような発展を通じて、数式処理の重要性に対する理解は着実に浸透しつ つあり、また多数の関連する研究成果が発表されるようになってきた。しかし、 ISSAC等の国際会議あるいは外国発行の学術雑誌を除けば、この研究領域 を専門とする恒常的かつ正式な公表機会がなく、研究者の出身分野等での機会 を借りた発表が多くを占める現状は問題であり、その打開を図るべき時が来た との感を強く持つ。既存の学会等の分科会としての活動も可能であり、関連す る全学術団体との良好な相互協力態勢構築も重要であるが、活発な独立・独自 の活動のみが、次々と新たな研究領域・応用分野を触発するなど、日本におけ る大きな研究の流れを作り得ることをまた事実であろう。

数式処理を媒介として結び付いた多数の研究者・応用技術者・利用者からな る学会を設立し、研究発表・意見交換・情報授受・共同研究企画等の場を共有 する意義は、上記の理由から、非常に大きいと思われる。さらに、数式処理教 育・普及の主体であり、国内外の研究機関あるいは産業界との交流の中核とな る組織を持つ意味は決して小さくない。よって、ここに「日本数式処理学会」 の設立を提案するとともに、参加と協力を呼びかけるものである。

主旨に御賛同の方で発起人を引き受けて戴けるかたは、 次のアドレスに御連絡下さい。また詳細な情報が必要のかたも 御連絡下さい。

  • niki@rifis.sci.kyushu-u.ac.jp
  • saito@mm.sophia.ac.jp

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   Last Modified: $Jssac: 1.html,v 1.1.1.1 2015/11/18 16:09:28 html Exp $